「情報公開クリアリングハウス」のサイトに以下の記述があったが、根拠条文がわからなかった。
情報公開請求の対象文書については、請求を受けた場合は保存期間が満了しても請求に対する決定から1年間は廃棄することが禁じられている。 https://clearing-house.org/?p=3012
公文書管理法施行令9条1項4号が根拠と思われる。
公文書管理法施行令
(保存期間の延長)第9条 行政機関の長は、法第五条第四項の規定に基づき、次の各号に掲げる行政文書ファイル等について保存期間を延長する場合は、当該行政文書ファイル等の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める期間が経過する日までの間、当該行政文書ファイル等を保存しなければならない。(中略)四 行政機関情報公開法第四条に規定する開示請求があったもの 行政機関情報公開法第九条各項の決定の日の翌日から起算して一年間https://laws.e-gov.go.jp/law/422CO0000000250/#Mp-At_9
行政文書開示請求とは異なり、施行令に記載がない。しかし、運用上、保有個人情報開示請求があった場合は同施行令9条2項の「その職務の遂行上必要があると認めるとき」に該当するとの解釈のもと、行政文書開示請求と同じ扱いがとられているようである(下記通達参照)。
施行令第9条第2項に基づき、職務の遂行上必要な場合(個人情報保護法に基づく開示請求があった場合や、説明責任を果たすために必要な場合を含む。)……にも、行政文書ファイル等を継続して保存する
https://www8.cao.go.jp/chosei/koubun/hourei/tsuchi1-6.pdf(「行政文書の管理に関する公文書管理課長通知 1-6 行政文書の保存期間の延長、移管、廃棄について」3頁 下線引用者)
もっとも、施行令9条2項は、条文上、要件裁量と効果裁量を認めていると解されるし、どの程度保存期間を延長するかも、行政機関の長の判断に委ねているから、完全に同じ扱いがされているとはいえないだろう。
公文書管理法施行令
9条(保存期間の延長)
2 行政機関の長は、保存期間が満了した行政文書ファイル等について、その職務の遂行上必要があると認めるときには、一定の期間を定めて行政文書ファイル等の保存期間を延長することができる。https://laws.e-gov.go.jp/law/422CO0000000250/#Mp-At_9
公文書管理法及び同施行令は、「独立行政法人等」を「行政機関」と区別しているため(法2条1項と2項参照)、「行政機関の長」を名宛人とする施行令9条1項及び2項は、独立行政法人等の長に対し、保存期間の延長を義務付けるものではないと考えられる。他に、根拠法令は見つからなかった。ただ、各法人の文書管理規則において、同様の定めをしているケースはあった。例えば国立大学法人東京大学は、「東京大学法人文書管理規則」10条4号において、公文書管理法施行令9条1項4号と同様の定めを置いている。
東京大学法人文書管理規則
第10条 次に掲げる法人文書については、前条の保存期間の満了する日後においても、次の区分に応じて、それぞれ次に定める期間が経過する日までの間、保存期間を延長するものとする。(中略)
(4) 開示請求があったもの 開示決定等の日から1年間
https://www.u-tokyo.ac.jp/gen01/reiki_int/reiki_pdf/h170317345.pdf
根拠 | 延長される期間 | |
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行政文書開示 | 公文書管理法施行令9条1項4号 | 決定の日の翌日から起算して1年間 |
保有個人情報開示 | 公文書管理法施行令9条2項+通達 | 行政機関の長が定める一定の期間 |
法人文書開示 | 各法人の文書管理規則? | 開示決定等の日から1年間(東大) |